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老後破産の原因と対策

老後破産という言葉を聞いたことはありますか?

老後破産とは、定年後の年金生活において破産状態に陥り、生活に困窮してしまうことです。
超高齢化社会が叫ばれる日本において、この老後破産は大きな問題となっています。

この老後破産について、貯蓄がない人や年金額の少ない人にだけ起こりうる問題であると思いがちです。しかし実際は、貯蓄の有無や年金額にかかわらず、誰にでも起こりうる問題なのです。

老後破産の原因

①住宅ローンや家賃の支払い

晩婚化が進んでいる日本の時勢や、なかなか景気が上向かず給与が上がらない経済状況。住宅ローンを締結する時期が遅くなったり、返済期間を長くとったりすることで、定年後も住宅ローンを抱えているというケースが増えています。

また、民間企業は50歳をピークに給与が下がる傾向にあることから、思うように貯蓄ができないことも挙げられます。

結果として、老後資金に充てようと考えていた退職金を住宅ローンの返済に回さざるを得ないことも少なくありません。

賃貸物件に住んでいる場合も、住宅ローン同様に家賃が毎月発生しますし、また返済というゴールがあるわけでもありませんから、事前に資金計画を立てておく必要があります。

②子どもの教育費

晩婚化に伴い、出産年齢も遅くなっている現状があります。

2018年における、第一子出産時の平均年齢は男性が32.8歳、女性が30.7歳という統計が出ています。第三子にあっては、男性が35.6歳、女性は33.7歳

第一子に着目しても、大学を卒業したとき(留年・浪人なく学士卒)の男親の平均年齢は54.8歳ですから、教育費への支出分を貯蓄に回せる時期は必然的に遅くなります。ましてや、大学の進学率が増えたことも、こと老後資産にとっては逆風になっています。

また、子どもが自立せずに実家に住み続けるケースもあります。
35~39歳時点での婚姻割合は男性の70.0%、女性の81.6%ですから、その割合が増えていることが伺えます。

(参考:厚生労働省「人口動態調査」、統計局「配偶関係」)

③医療費

医療費について、老後の資金計画を立てているひとも、その計画が不十分であることがほとんどです。というのも、生涯にかかる医療費の半分は、70歳以上でかかるからです。

厚労省のデータによれば、一人あたりの生涯医療費は約2,700万円とありますから、70歳以降に要する医療費は約1,350万円であるといえます。

以下、医療費の簡単な対照表を示します。

「1年間当たりの医療費」

(円/年)75歳未満75歳以上
外来治療費42.0万円12.6万円
入院治療47.0万円7.2万円

「1年間当たりの治療に要する日数」

(日/年)75歳未満75歳以上
外来治療28.2日10.0日
入院治療14.1日1.6日

治療に要する日数が長引くほど医療費以外の支出も増えますから、実際の負担額は半分以上といえるでしょう。

(参考:厚生労働省「医療保険に関する基礎資料」)

④介護費

生命保険文化センターの調査による介護費用の平均額について、以下のように結果が出ています。

介護初期費用:69.0万円/1回
介護経過費用:7.8万円/月
介護平均期間:54.5か月

いろいろな背景があるため、一様に数字で表せるものではありませんが、単純計算をすると以下のようになります。

69.0万+7.8万×54.5月=494.1万円/人

したがって、約500万円ほどの介護費用を資金計画に組み込んでおく必要があります。

(参考:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」)

老後破産の対策

①任意売却の検討

「任意売却」とは、住宅ローンが返済できない場合に任意売却取扱主任者に債務者・債権者間の調整を依頼して不動産を売却することです。

破産後の競売と異なり、市場価格と限りなく近い価格での取引が期待できることが利点となります。
ただし、住宅ローンの残額次第では完済できずに負債が残ってしまう可能性もあるため、専門家と相談の上で検討することが必要です。

②リースバックの検討

「リースバック」とはご自宅を売却して現金化しつつ、その後賃貸として住み続けることができるサービスのことです。

固定資産税も払う必要がなく、かつ完全に手放すわけではないため引っ越しする手間と費用も掛からなくなるため、近年利用者が少しずつ増えています。

ただし、買取額とその後の賃料について様々な業者と必ず比較検討を行ってください。買取額は高いが賃料が高い、賃料は抑えられるが買取額が低いなど、比較しないと見えてこない情報がたくさんあります。

リースバックを検討している家庭は金銭的に厳しい、ということを相手方はわかっているため、強気な価格を提示してくることも。

こちらも、専門家と相談の上で検討する必要があります。

③事前の資金計画

何よりも、確実な資金計画を立てておくことが大切です。資金計画を考える中で、必要支出の額や時期が見えてきますし、なにより予想外の支出に対する対応力が身に尽きます。

終活を扱う行政書士やFPに委託して計画を作成してもらう方も多いですが、当事務所としてはお勧めできません。相談の上、将来の展望や計画、希望を話し合いながら“当事者主体”で考えることが、豊かな老後生活を形成する何よりも重要な手立てです。


当事務所では、家族法に特化した行政書士事務所として終活をサポートしています。任意売却やリースバックの検討についても、様々な事案や例を考慮し、ご相談者様に最善の手立てをご案内させていただきます。

お悩みやご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。