倉庫業の種類
倉庫業とは、法律の中で”寄託を受けた物品の倉庫における「保管」を行う営業”と定義されており、倉庫業を営むためには国土交通大臣の登録を受けることが必要です。
倉庫業における倉庫とは「営業倉庫」を指し、以下のように分類されます。その種類により許認可要件等が多少異なりますので、申請すべき倉庫業の種類を確認しましょう。
種類 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
1類倉庫 | 危険物を除き、保管物品が無制限なもの | 一般雑貨 |
2類倉庫 | 耐火性能を有さないもの | 穀物、飼料、原木 |
3類倉庫 | 防水、防湿、耐火性能を有さないもの | 陶磁器、アルミインゴット、原木 |
野積倉庫 | 製材やかわら等を野積み保管するもの | アルミインゴット、原木 |
貯蔵槽倉庫 | 穀物等のバラ貨物や液体を補完するもの | 糖蜜、小麦粉 |
危険品倉庫 | 石油等の危険物を補完するもの | ガソリン、灯油、化学薬品 |
水面倉庫 | 原木を水面保管するもの | 原木 |
冷蔵倉庫 | 食肉等を10℃以下で保管するもの | 食肉、水産物 |
トランクルーム | 寄託物品の保管に供するもの | 事務文書、絵画、貴重品 |
特別の倉庫 | 災害の救助等、国交大臣により認められたもの |
倉庫業に該当しない場合
- 貨物自動車運送事業による貨物の一時保管
- 金融機関による有価証券や貴金属等の保管
- 駐輪場、駐車場での一時保管
- クリーニング業において衣服等を預かる行為
- 電子データでの委託保管
※現在行っている業務が倉庫業に該当するかどうか不明な際は、速やかに当事務所にご相談ください。必要な場合は、許認可等にかかる最低限の日数での許可取得をサポートさせていただきます。
倉庫業の登録基準
倉庫業は、その公共性等から鑑みて、その他の許認可よりも厳格な基準が設けられており、特に施設設備基準に気を配らなければなりません。そのため、物件や土地選びの段階から基準を意識して行う必要があります。
1.申請者が欠格事由に該当しないこと
- 1年以上の懲役又は禁錮の刑を受けていたり、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 倉庫業法違反によって取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者
法人が倉庫業を行う場合、すべての役員について欠格事由に該当しないことが求められます。
2.施設設備基準を満たすこと
以下、1類倉庫を例に基準要件をご紹介します。
施設設備基準 | 概要 |
---|---|
使用権限 | 倉庫業に使用する倉庫及びその敷地の使用権限を有すること |
関係法令適合性 | 建築基準法その他の法令の規定に適合していること |
土地定着性 | 倉庫が土地に定着し、かつ、屋根及び周囲に壁を有する工作物であること |
外壁の強度 | 軸組み、外壁又は荷ずりの強度が国土交通大臣の定める基準(2500N/㎡以上)に適合していること |
床の強度 | 床の強度が国土交通大臣の定める基準(3900N/㎡以上)に適合していること |
防水性能 | 構造及び設備が倉庫内への水の浸透を防止するに足るものとして国土交通大臣の定める基準に適合していること |
防湿性能 | 土地からの水分の浸透及び床面の結露を防ぐため、床に国土交通大臣の定める防湿措置が講じられていること |
遮熱性能 | 国土交通大臣が定める遮熱措置(平均熱還流率4.65W/㎡・K以下)が講じられていること |
耐火性能 | 倉庫の設けられている建物が耐火性能又は防火性能を有するものとして国土交通大臣の定める基準に適合していること |
災害防止措置 | 危険品を取扱う施設その他国土交通大臣の定める施設に近接する倉庫にあっては国土交通大臣の定める災害防止上有効な構造又は設備を有すること |
防火区画 | 倉庫内に事務所、住宅、売店、食堂など火気を使用する施設又は危険物等を取扱う施設が設けられている場合にはっては、国土交通大臣の定めるところにより区画されていること |
消火設備 | 消火器などの消火器具が設けられていること |
防犯措置 | 防犯上有効な構造及び設備を有していること |
防鼠措置 | 鼠害の防止上有効な設備を有していること |
また、営業倉庫は、準住居地域を除く住居地域には原則、建築することができません。ですから、営業倉庫の所在地が属する用途地域をあらかじめ確認しておく必要があります。
営業倉庫の建築が可能な用途地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
3.倉庫管理主任者の設置
営業倉庫では、原則、倉庫ごとに1人の倉庫管理主任者を設置しなければなりません。倉庫管理主任者の業務内容や資格要件は以下の通りです。
<業務内容>
- 倉庫における火災の防止その他の倉庫の施設の管理に関すること
- 倉庫管理業務の適正な運営の確保に関すること
- 労働災害の防止に関すること
- 現場従業員の研修に関すること
<資格要件>
- 倉庫の管理の業務に関して2年以上の指導監督的実務経験を有する者
- 倉庫の管理の業務に関して3年以上の実務経験を有する者
- 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了した者
- 国土交通大臣が上記3項目にあてはまる者と同等以上の知識および能力を有すると認める者
実務上、倉庫管理主任者となる方は講習終了者がほとんどです。詳細は、日本倉庫協会の当該ページでご確認ください。
また、設置人数については特例が置かれているため、複数の倉庫につき一人の倉庫管理主任者で足りる場合があります。
<設置人数の例外規定>
- 機能上一体の倉庫とみなされる複数の倉庫
- 同一営業所その他の事業所が直接管理または監督している複数の倉庫が、同一都道府県の区域内に存在し、それらの倉庫の有効面積の合計が国土交通大臣の定める値(10,000㎡)以下であるもの
申請に必要な書類
1類倉庫での必要書類は以下の通りです。
- 倉庫業登録申請書
- 倉庫明細書
- 施設設備基準別添付書類チェックリスト
- 土地、建物の登記簿謄本
- 土地、建物の賃貸借契約書(賃借物件の場合)
- 建築確認済証の写し
- 完了検査済証の写し
- 警備状況に関する書類(警備契約書の写し、警備状況説明書など)
- 床や壁の構造計算書
- 平均熱貫流率の計算書
- 倉庫付近の見取図
- 倉庫の配置図
- 平面図
- 立面図
- 断面図
- 矩計図
- 建具表
- 倉庫管理主任者関係書類
- 履歴事項全部証明書(法人登記簿)
- 会社概要が記載されたパンフレット
- 役員の宣誓書
- 倉庫寄託約款
上記書類は、申請に必ず必要となる書類です。その他、許認可要件を満たすことの確認書類を別途準備し、添付することで円滑な許認可手続きが実現します。確認書類は案件内容により異なりますので、相互協力しながら書類の準備を進めていくことになります。
サービスの流れ
メール、お電話、LINEにてお問い合わせください。
内容を確認の上、無料相談の日程調整を行います。
お電話又は御社まで出張し、内容のヒヤリングを行います。
内容に応じて見積書を提示の上、ご納得いただけましたら契約となります。
倉庫業の内容や実態に応じた事業計画を進めます。具体的には、
- 保管物品と倉庫種類の調整
- 予定地の用途地域確認
- 予定物件の施設設備基準の照合
- 竣工図等の収集作業
- 運輸局との相談
- 管轄建築部局との相談
等を行い、確実に許可が下りるように事前準備を行います。
計画内容に応じ、必要書類一覧を提示いたします。
お客様にご用意いただく書類と記入事項、注意事項などをお伝えします。
必要書類を当事務所に郵送又はFAXにて送信をお願いいたします。
書類の不備等が気になる方は、御社まで出張してご一緒に確認作業を行います。
当事務所で許可申請書を作成します。
申請書作成後、御社までお伺いしますので押印をお願いいたします。
当事務所で許可申請を行います。
申請内容に補正がある場合も、無料で対応致します。
無事に申請が通りましたら、許可証をお渡ししてサービス終了となります。
その後のアフターフォローも無料で承っております。
保管料等の料金の設定や寄託約款、倉庫管理主任者の設置等をしなければなりません。料金においては届出義務もありますのでご注意ください。
行政書士こそね事務所では、倉庫業許認可手続きの一括サポートはもちろん、事前の事業計画のお手伝いもさせていただいております。なにかご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。