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相続税を計算してみよう

終活をはじめたとき、インターネットや書籍などを用いて情報収集をする方が多いと思います。。

その中で、必ず目にするのが「相続税対策」という言葉。しかし、相続税対策が必要になる人はそれほど多くはありません。

まずは、相続税が発生するのかどうかを計算してみましょう。

課税される人の割合は?

まずは、相続税がかかる人の割合、つまり“相続税対策を要する人”の割合を見てみましょう。

令和元年中に亡くなられた方(被相続人数)は50,872人、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は3,448人と統計が出ています。

したがって、相続税の課税割合は6.8%であり、100人に7人程度しかそもそも課税されていないこととなります。

なお、栃木県にあっては課税割合は6.6%ですから、全国平均を下回っています(東京が平均を引き上げているわけですが)。

(参考:国税庁 相続税の申告・課税状況 及び各税務署統計)

したがって、むやみに相続税を恐れることはありません。無用な相続税対策を行う前に、まずは実際に相続税が発生するのかどうか、またその場合はどれくらいになるのかを概算してみましょう。

相続税の計算方法

相続税の概算は以下のステップで行います。
あくまで終活時や遺言書作成時に行う概算ですから、細かな控除制度やみなし贈与等は省いて記載します。
相続税課税の恐れがある場合には、税理士に相談すると良いでしょう。

相続財産の総額を算出する

以下のものを“相続財産”として、合計額を算出しましょう。

  • 現預金や土地、建物、車など、ほとんどすべての財産
  • 生命保険金・死亡退職金の一部
    (それぞれ法定相続人の数×500万円までは含めない
  • 相続開始前3年以内の贈与
    ※相続時精算課税選択時はすべての贈与

その合計額から、以下のものを除きます。

  • 相続人の借金やローンの残価
  • 要する葬儀費用

おおよその総額が出せれば結構です。

控除額を除き、課税遺産総額を求める

①で求めた遺産額から、基礎控除額を除きます。

基礎控除:3,000万円+法定相続人の数×600万円

相続人が母(配偶者)と子ども1人の場合、法定相続人は2人ですから
3000+600×2=4,200万円が控除されることになります。

控除後に残った額が、“課税遺産総額”となります。
この控除額が遺産額を上回っている場合、相続税は課されません

課税遺産総額から相続税額を算出する

課税遺産総額を、法定相続分に応じて分配し、分配額に税率を乗じて相続税額を算出します。

【法定相続分】

争族順位法定相続人と相続分
第1順位
(子がある場合)
配偶者 1/2子ども 1/2
(人数で按分)
第2順位
(子がなく父母がいる場合)
配偶者 2/3父母等 1/3
(人数で按分)
第3順位
(子も父母もない場合)
配偶者 3/4兄弟姉妹1/4
(人数で按分)

分配後、それぞれに税率を乗じて控除額を除きます。

【相続税率と控除額】

分配後の額税率控除額
1,000万円以下10%なし
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

では、実際に計算してみましょう。
以下、具体例を示しながら説明していきます。

例:遺産総額が8,800万円で、相続人が配偶者と子2人の場合

まずは遺産額から控除額を除きます。

控除額は 3,000万円+3人×600万円=4,800万円 ですから、
課税遺産総額は 8,800万円-4,800万円=4,000万円 となります。

配偶者:1/2 子①:1/4 子②:1/4 の割合で分配するので、
配偶者2,000万円 子①1,000万円 子②1,000万円 となります。

上記の額から、税率を乗じ、さらに控除額を除きます。

配偶者:2,000万円×15%-50万円=250万円
子① :1,000万円×10%=100万円
子② :1,000万円×10%=100万円

よって、納める相続税は合計450万円となります。

厳密には、小規模宅地等の特例により課税遺産総額が下がったり、配偶者控除により減税されたりともう少し手を加える必要があります。

確実な相続税の算出や相続税対策をお考えの場合は、税理士への相談をご検討ください。


行政書士こそね事務所では、実践的な終活や後悔のない遺言書作成のサービス提供のため、相続税を考慮したご相談を承っております。

また、相続税が確実に課される場合は、専門の税理士と提携の上で適切なサポートをさせていただきます。

お悩みやご質問等があれば、お気軽にお問い合わせください。