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贈与税を計算してみよう

贈与税について、なんとなく「高い!」というイメージをお持ちの方が多いと思います。実際に、税率は相続税と比べると高いですし、控除額も比較的小さいです。

ただし、それはあくまで「一般贈与」と呼ばれるものの税率であり、親や祖父母からの贈与「特例贈与」と呼ばれ、税率が小さくなっています

相続税対策として生前贈与を行う場合や、認知症対策として不動産の名義変更を行う場合、この特例贈与に該当する場合がほとんどです。

実際に、贈与税を計算してみましょう。

贈与税の計算

まずは、贈与税の計算手順を見てみましょう。
(一般・特例の違いは税率ですので、計算手順は同じです)

財産価額の算定

まずは、一年間における贈与の合計額を算出しましょう。
贈与税については、1月~12月までを一年間とします。

基礎控除額を差し引く

①での合計額から、基礎控除額110万円を差し引きます。
今回は、差し引いた後の額を「課税価格」と呼びます。

お年玉やお小遣いも、当然に贈与に該当しますが、税金がかからないのはこの控除額のためです。

税率と計算後控除額を計算する

贈与税計算のキモ、税率と計算後控除額を計算して、実際の贈与税額を算出します。
以下に、一般贈与特例贈与における税率と計算後控除額の違いを表に示します。

一般贈与

課税価格税率控除額
200万円以下10%なし
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

特例贈与

課税価格税率控除額
200万円以下10%なし
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

特例贈与って?

特例贈与とは、一定の条件を満たす贈与で、税率や計算後控除額のおいて優遇される措置のことです。

特例贈与の条件

  • 贈与者が直系尊属である
    直系尊属とは、自分より前の世代で、直通する系統の親族のことです。
    父母や祖父母がこれに該当します。
  • 受贈者が18歳以上の直系卑属である
    直系卑属とは自分より後の世代で、直通する系統の親族のことです。
    子や孫などがこれに該当します。
    なお、18歳以上かどうかは贈与を受けた年の1月1日時点で判定されます。
    ※2022年4月より、成人年齢の引き下げに伴い18歳に繰り下げられました。詳しくは国税庁HPへ

贈与税を計算してみよう

実際に、具体例を用いて贈与税を計算してみましょう。

(例)祖父から孫へ、2月に400万円、8月に550万円を贈与する場合

①一年間の贈与額合計は

400+550=950万円 

②ここから基礎控除額を差し引くと

950-110=840万円

③今回は特例贈与にあたるので、それに応じた税率と計算後控除額を差し引きます。

840×30%-90=162万円

したがって、今回の事例における贈与税額は162万円と算出できました。
15%以上も税金に持っていかれる…と思うと、少し厳しい現実が見えてくると思います。

では、土地と家を合わせて贈与した場合における価額帯ではどうでしょうか。

(例)親から子へ、土地と自宅の計5,000万円を贈与した場合

①~③をまとめて式に起こしてみましょう。

(5,000-110)×55%-640=約2,325万円

したがって、贈与額の半分近くを贈与税として支払うことになります。


相続税対策や認知症対策として不動産の名義変更を行う人も多いですが、贈与税の計算方法やその額を押さえておかないと泣きを見ることも。

相続税が課される程度の遺産を保有している場合にも、相続税対策に躍起になることは好ましくありません。

また、認知症対策として有効な名義変更ですが、今日の法体制では任意後見や家族信託なども選ぶことができますから、しっかりと事前に調べておくことが大切です。

行政書士こそね事務所では、任意後見や家族信託はもちろん、税金を考慮した終活サポートをおこなっております。
お悩みやご不安がおありの方は、当事務所の無料相談をご利用ください。