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自宅不動産が相続トラブルの原因?

終活の中で、来たる相続を意識する人も多いと思います。思いはみんな同じで、「相続トラブルを避けたい」というもの。自分が亡くなった後、自分や自分の所有物がキッカケで家族関係が壊れてしまう…なんてことは誰も望んではいません。

しかしながら、相続トラブルによる家庭裁判所への発展件数は年々増加傾向にあり、それらの殆どは相続財産額5,000万円以下で起きているという事実があります。

さて、そのトラブルが“自宅不動産”がキッカケであるということはご存じでしょうか。

自宅不動産のトラブル事例

自宅不動産が原因となるトラブル事例をみていきましょう。

1.同居者が相続するケース

相続した自宅不動産に同居人(子どもなど)がいて、かつその同居人がそのまま住み続けるケースです。
ありがちな事例ですが、このケースでは遺産総額が小さいほどトラブルになりやすい点が重要です。

例えば、相続財産3,000万円のうち、不動産が2,500万円を占めているとしましょう(現預金500万円)。
相続人が二人であれば、それぞれ1,500万円分相続するわけですが、一方の同居人が不動産を相続する場合、上回った1,000万円を他方の相続人に与えねばなりません(代償分割)。

現金で1,000万円を準備できるわけもなく、かといって不動産を売却すると住まいがなくなってしまう…というケースです。

2.不動産の評価額が一致しないケース

一方が自宅不動産を取得する場合、或いは売却して換価する場合、相続人の間で評価額の言い分が一致しない場合があります。

不動産の評価額は、固定資産税評価証明書を用いる場合や路線価から算出する場合、中古不動産等の相場から算出する場合など、様々な手法がとられますが、これがトラブルを誘発します。

それぞれの評価が一致しなければ遺産分割協議が成立しませんから、その場合は間に弁護士を介したり、土地家屋調査士に依頼して評価額を定めたりすることになります。

その場合、相応の時間を要しますから相続財産は使用できない状態になります。
また、相続開始から10か月以内に相続税の申告・納付をしなければなりませんので、なかなかハードなスケジュールになってしまいます。

地価については、こちらの検索マップも便利です。

3.共有名義のまま相続が発生したケース

不動産が共有名義になっている場合、その共有者すべての同意がなければ売却等ができませんし、名義変更も自由に行うことができません

以前に相続が絡んでいる不動産で遺産分割協議が行われていない場合は、その時の相続人全ての共有となっています。そのため、それらの相続人と連絡を取り合い、かつ遺産分割協議を経なければならないことになります。

相続後に放置する時間が長ければ長いほど共有者は増えていきますから、早い段階で対策する必要があります

自宅不動産における相続対策

1.生命保険を活用する

自宅不動産を相続する人・しない人がいる場合の代償分割に備え、生命保険を積み立てておきましょう。生命保険の受取人名義によって、遺産分割の対象に生命保険金を組み込むことができます。現預金の額を増やすことで、不動産を相続する人の負担を減らすことができます。

ただし、生命保険金はみなし相続財産として相続税の課税対象となります。現時点での相続財産の価額により相続税対策をとらなければならないこともありますので、相続税を概算してみるとよいでしょう。

相続税の計算方法はこちら

2.自宅不動産を生前売却する

介護施設への入居を考えている場合や、不動産を相続する人がいない場合は売却することも一つの手段です。トラブルは不動産の分割によるものですから、トラブル対策としては一番優れています

ただし、長年過ごしてきた自宅を手放す決断はなかなか難しいものです。親族と相談し、時間をかけて考えるようにしましょう。

相続税の観点からみると、現金と比べて不動産の方が低く評価されます。賃貸不動産の購入が相続税対策として利用されるのはそのためです。
ですので、相続税が発生する場合における現金への換価は、相続税を増やす結果にもつながりますので、こちらもじっくり検討する必要があります。

3.家族信託契約を締結する

家族信託を行うことで、不動産にかかわるトラブルを回避することができるケースがあります。

詳しくは下バナーをクリックして家族信託のページをご覧ください。

4.遺言書を作成する

トラブルの原因は不動産ですが、そのトラブルが発生する殆どは遺産分割協議によるものです。

ですから、あらかじめ遺言書を作成しておくことで遺産分割協議を経ずに相続手続きを終えることができます
トラブルになる可能性のある遺産構成の場合は、必ず遺言書を作成しましょう。

遺言書には、相続トラブルを回避する目的以外に“相続手続きを簡略化させる”効果があります。自身の死後に親族へ負担を掛けたくない思いから終活を始めた方は、遺言書の作成を検討してみてください。

終活時に行うべきこと

1.遺産額に占める不動産評価額を調べる

遺産分割時のトラブルを防止するため、遺産額とそこに含まれる不動産の評価額を調べておきましょう。そうすることで、代償分割時に必要な額がある程度わかりますので、対策を立てやすくなります。

合わせて、相続税が発生するかどうか、また発生する場合はどれくらいになるのかが見えてきます。
相続税については、“正しく恐れる”必要があります。むやみに恐れて相続税対策に囚われてはいけません。まずは、概算をしてみましょう。

相続税の計算方法はこちら

2.自宅不動産の名義を確認する

不動産の名義を確認し、共有名義になっている場合は名義を変更し、単独名義としておきましょう。

また、共有名義になっていない場合も“認知症対策”として相続人の名義に変更しておくと有効な場合があります。
認知症を患い、”判断能力がない”とされた場合は不動産の管理(売却や名義変更、賃貸管理など)ができなくなります。
終活時には、合わせて認知症対策も考えるとよいでしょう。

3.家族信託契約の締結・遺言書作成

自身の遺産構成や相続人構成に応じ、有効である手立てをとりましょう。
上記で示した家族信託や遺言書以外にも様々な方法が考えられますので、お悩みの方は当事務所までお問い合わせください。無料相談の中で、ご相談者様に最善の方法をご案内させていただきます。


行政書士こそね事務所では、様々なケースに応じた終活サポートを行っております。

暮らしの中でのお悩みな疑問などがあれば、お気軽にお問い合わせください。